世界が簡単ならいいのに

脳を解明するという研究が最近のホットトピックだ。
　
ATRでは、「アトム計画」が進められている。
これは、5歳児の能力がある人間型ロボットを
開発する構想だそうだ。
　
興味がある人は、勝手に調べて欲しい。
詳細は、webで腐るほど見つかることだろう。
　
非常に興味深いプロジェクトであるし、
脳科学に多少の興味を覚え
（覚え続けているという方が正しいか）
そこから派生した研究に従事しているわけだから、
本質的にはその研究に関して賛同者ではある。
　
しかし、脳の研究が良いことだけをもたらすのだろうか、
　
もしも、僕らの心のうちが全て見えてしまったとしたら？
　
もしも、僕らの日々悩む些細な出来事全てが、
DNAによって詳細に設計された方程式によってあらわされた
決められた道筋であったとしたら？
　
あくまで、この2つのもしもは、今後の研究成果の中で、
数％にも満たない可能性でしかあり得ないとは思う。
　
しかし、僕らに悲劇をもたらすかもしれない可能性がある。
　
私は、核を否定はしない。しかし、核兵器は悲劇そのものだ。
　
つまり、それと同じかそれ以上の悲劇を
もたらすかもしれないと考える。
　
そして、脳と生命の全てを解き明かしたとき、
私たちは、新たな生命を作ることになるだろう。
　
それは、作って良いものなのか？
私たちの知的好奇心だけで、生み出した彼らは、
私たちのコピーそのものなのだ。
　
それを、実験という名の下に生み出して良いのか？
　
そんな話どこでもここでも
小説や映画ではなされてるじゃないか。
　
確かにそうだ。
でも、それを本当に起きうることだと
何人が真面目に受け取れる？
　
クローンが現実化した今、
私たち一般市民が真面目に受け取らなくちゃいけないSFが
目の前に迫っている。
　
ま、そんなことを深く考えても仕方ないのかもしれない。
　
ただ、友人の言葉が胸に響く。
　
「知ってしまったら、もう知らないふりなどできはしない。」